HEADs AI の AKI です。
出張の日当はいくらか。タクシー代は落ちるのか。あの工具は誰の承認がいるのか。総務や経理には、同じ質問が何度も来ます。
規程には書いてあります。それでも聞かれます。探すより聞いたほうが早いからです。
規程を1回読ませておけば、あとは質問するだけで答えが返ります。ChatGPTの「プロジェクト」で作りました。手順を全部書きます。
作るのは、プロジェクトを1つだけです
プロジェクトは、ファイルと指示をまとめて置いておける入れ物です。無料版でも使えます。
入れるのは2つだけです。
- 情報源 …… 経費精算の規程を1つ
- 指示 …… 答え方のルール
作り方はこうです。
1. サイドバーの「プロジェクト」にカーソルを載せると「+」が出ます。押して、名前を付けて作ります。名前は「経費の問い合わせ」など、社員が見て分かるもので構いません。

2. 「情報源」タブで、規程のファイルを入れます。PDFやWordのままで入ります。このタブはプロジェクトのトップ画面にだけあります。チャットを開いていると出てきません。

3. 右上の「…」→「プロジェクト設定」に「指示」の欄があります。ここに答え方のルールを書いて保存します。

指示に書いたのは、この4つです。
このプロジェクトでは、社員からの経費に関する問い合わせに答えてください。情報源に入っている経費精算・出張旅費規程だけを根拠にしてください。
1. 回答には必ず根拠(規程の第何条か)を添えてください。
2. 規程に書かれていないことは書かないでください。推測で埋めないでください。
3. 規程だけでは金額や結論を確定できない場合は、答えを作らずに、何が分かれば答えられるかを質問として返してください。
4. 判断に迷う場合、例外の扱いが必要な場合、金額が大きい場合は、規程で分かる範囲を答えたうえで「この件は総務経理部(または所属長)に確認してください」と案内してください。当たらない場合は、案内を付けないでください。
ここまでで、窓口はできあがりです。あとは、このプロジェクトの中で質問するだけです。
質問すると、根拠の条文つきで返ります
架空の会社(社員58名の部品メーカー)の規程で試しました。
「製造部の山本です。35000円の工具を買いたい場合は誰の承認が必要ですか?」
35,000円の工具は、30,000円以上の備品購入に該当するため、購入前に総務経理部への確認が必要です。
規程上、30,000円以上について「所属長の承認も必要」とは明記されていません。
根拠:経費精算・出張旅費規程 第8条(備品購入)
「30,000円以上の場合は、事前に総務経理部への確認が必要です。」

最後の一文が大事です。
質問は「誰の承認が必要か」でした。けれど規程は「確認が必要」としか書いていません。言葉を合わせずに、書かれていないと断っています。
回答の下には、根拠にした規程のファイル名も出ます。聞いた本人が、その場で条文を開いて確かめられます。
規程で決まらないものは、聞き返してきます
「営業部の田中です。出張で大阪に行く場合の日当はいくらですか?」
出張日当は片道100km以上の業務出張が対象で、役職によって金額が異なります(第4条)。
大阪出張の日当を確定するため、次の2点を教えてください。
田中さんの役職(一般社員/主任・係長/課長以上)
出張の出発地(片道100km以上か確認するため)
日当は役職で変わり、片道100km以上が条件です。質問にどちらも書かれていないので、金額が決まりません。
ここで金額を1つ選んで返されると、聞いた本人はそれを信じます。そうさせないために、指示の3つ目を書いています。
答えられなかった質問が、規程の直しどころです
この仕組みのいちばんの利点は、答えられなかった質問が残ることです。
プロジェクトの中のやりとりは、そこに全部たまります。月に一度開いて、こういうものを拾ってください。
- 「規程に記載がありません」と返っているもの
- 聞き返しばかりで、話が進んでいないもの
- 同じことを何人もが聞いているもの
これは、規程の穴の一覧です。これまで総務の頭の中にしかなかったものが、形になって出てきます。
拾ったら、規程のほうを直します。直したら、情報源のファイルを新しいものに差し替えます。差し替えを忘れると、古い答えが根拠つきで返り続けます。誰がやるかを決めておいてください。
答えられるかどうかは、規程の書き方で決まります
上の回答が出たのは、規程がこう書かれているからです。
第8条 備品購入
業務に必要な備品購入は、1件あたり30,000円未満であれば所属長承認で購入できます。30,000円以上の場合は、事前に総務経理部への確認が必要です。
いくらから誰に話を通すのかが書いてあります。だから答えが出ます。
これが「必要に応じて上長に確認すること」だけなら、AIもそう答えます。規程に無いことは答えられません。
ですから、最初に選ぶ規程は条件と金額が書いてあるものにしてください。経費精算が始めやすいのは、数字で決まっていることが多いからです。
なお、AIに入れてよい情報は、会社の基準に従ってください。
社内に配るときは
ここまでは、自分の手元に1つ作る話です。使ってみて役に立ちそうなら、社員にも使ってもらえます。
そのときはChatGPTのBusinessプランが要ります。Businessでは「GPT」という形で作って、社内に配れます。中身は同じで、規程を入れて、答え方を書くだけです。
会話は、使った本人のものになります。作った人にも、ほかの社員にも見えません。誰が何を聞いたかを気にせずに使えます。
料金は1ユーザーあたり月3,050円(2名以上・年額でのお支払い。月ごとなら3,850円)。入れた業務データは、既定では学習に使われません。(2026年8月時点)
いま作ったプロジェクトも、そのまま共有できます。ただし共有すると、中のやりとりが相手にも見えます。
ここは分かれます。見えて構わないなら、プロジェクトの共有で足ります。総務の中だけ、同じ部署の数人だけ、といった使い方ならそのほうが早いです。質問を互いに見せたくないなら、BusinessのGPTにしてください。
まとめ
- プロジェクトを1つ作り、規程を情報源に入れ、指示に答え方を書く。ここまでが準備
- 根拠の条文を付けさせる。聞いた本人が、その場で確かめられる
- 規程で決まらないときは、聞き返させる
- 答えられなかった質問を、月に一度拾う。それが規程の直しどころになる
- 直したら、情報源のファイルを差し替える。担当を決めておく
- 社員にも使ってもらうならBusinessプラン。会話は本人だけのものになる
次に読む
頼み方に書いておくことは、ほかにもあります。請求書の入力をAIに任せた記事に、4つまとめてあります。
Excelを見ながらシステムに打ち込む。あの作業は、AIに任せられます。
こうした使い方を担当者ひとりに留めず、社内で配れる形にする方法をまとめています。